COLUMN家づくりコラム

いつまで続く?ウッドショック。高まる国産材への期待  

イエタッタ編集部
2023.06.02

 

2021年以降、耳にするようになった「ウッドショック」。1970年代に起こったオイルショックにならって作られた、木材価格の上昇に関する言葉です。新築やリノベーション・リフォームを考えている方は特に気になる話題ではないでしょうか。ウッドショックの現状や原因、対策についてお伝えします。

 

ウッドショックとは、コロナ禍で表面化した木材の問題。建築物に使用する木材が急激に高騰し、住宅そのものも値上がりしたり施工が遅れたりしていることを指します。原因としては以下のような事柄が挙げられます。

 

・アメリカでの木材需要の高まり

新型コロナウイルスの流行以降、アメリカを中心に世界的にリモートワークが拡大し住宅建築の需要が急激に高まったこと。

 

・コンテナの不足

ネットショッピングの利用などの増加による、木材輸出に必要なコンテナの供給不足。

 

・害虫や山火事による木材の減少

北米の木材業界では、コロナ以前から害虫被害や相次ぐ山火事によって木材の供給量が減少。

 

・ロシアのウクライナ侵攻

2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻により、日本への木材輸入がストップしたことも、ウッドショックの長期化に影響。

 

・円安の影響

円安傾向が高まっていることで、輸入価格が上昇

 

経済産業省の調査によると、2021年に入ってから木材や木製品、林産物全体の輸入価格は急上昇。2022年以降は、集成材や製材はピークアウトし下落しつつある一方で、合板や丸太は徐々に上昇しています。製材に関しては2021年にピークが来ているもののその後大幅に下がることはなく未だ高値となっています。欧州・北洋材は2022年以降下落傾向にありますが、米国製材は高い価格のままです。上記のようなさまざまな課題が落ち着くまで、ウッドショックが収束する見込みはたっておらず、木材価格の高騰はまだまだ続く可能性があります。

 

そんな中注目されているのが国産材の使用です。昭和39年の木材輸入の自由化以降、住宅建築においては輸入木材の使用が主流になりました。しかしウッドショックを経て、高騰する輸入木材から国産材へと切り替えるケースが増加しています。国産材には経済面だけでなく、カーボンニュートラルなどSDGsの観点においても利点が多々。国内の森林資源を効果的に活用することで、低迷しつつある林業が発展し、山林が整い、土砂崩れなど自然災害の予防にもなります。また行政は森林・林業を再生する指針として、木材自給率50%以上を目標にした「森林・林業再生プラン」を2009年に策定。それを皮切りに、 今後も何らかの対策に取り組むことが予想されます。

 

長期的な輸入木材の不足が続くとされる中で、輸入木材への依存から脱して高まりつつある国産材への期待。新技術を用いた集成板「CLT」の登場、林業におけるドローンを活用した省力化や安全性の向上など、これまであった課題が解決に向かいつつあります。新築などを考えている人は、ライフプランをしっかりと立てた上で住宅購入のタイミングを見極めなければなりません。住宅購入に特化した専任FPが在籍している建築会社や国産材に詳しい会社に今後の家づくりについて相談してみてはいかがでしょうか。

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