COLUMN家づくりコラム
猛暑に備える。住まいの暑さ対策②
猛暑の日が増え、熱帯夜も年々増加傾向にあるという日本の夏。屋内での熱中症のリスクを減らし、快適な生活を送るためには、夏の暑さを防ぐ家づくりが重要になります。今回は、自然な心地良さをもたらす住まいの「通風」についてお伝えします。
◆住まいにおける通風とは
通風とは文字通り風が通り抜けること。家の通風を良くすることで快適性が高まります。
熱がこもりがちな住まいは、風の通り道が確保できずに熱気が室内に充満してしまうという場合が多いのです。熱気を外に追い出すことで、室内の温度を下げます。高気密・高断熱、日射遮蔽などの住まいづくりをしっかりと行いつつ、通風を行うことが重要です。
◆通風の目的は「排熱」と「採涼」
こもった熱を屋外へ排出する「排熱」と、体感温度を下げる「採涼」が通風の目的。効率的な通風には周辺の環境なども大きく影響しますが、基本的には窓などの開口部の配置、自然換気を利用することが大切です。
・窓の配置
ポイントは窓の配置。風の入口と出口を確保しましょう。基本としては、各部屋に2面の窓を対になるように配置することで風が通りやすくなります。
・温度差換気
暖かい空気は上方へ流れるという性質を利用。周囲より暖かな空気は、質量が軽く上昇するため、建物の低い位置と高い位置に窓を設けることで効果が得られます。低い位置の窓から冷たい空気が入り、暖められた空気は高い位置の窓から出ていくという、温度差を利用した換気方法です。北側と南側の2面に窓をとることで自然風をとりいれることができます。
・風力換気
風力換気とは、風の圧力差による空気の流れを利用した換気方法。対面に窓があり、2つの開口部に圧力差がある場合、圧力の高い方から低い方へと空気が流れます。この風の圧力差を利用した換気の方法を風力換気といいます。
◆風を通すことで木材の腐朽も予防
木材腐朽菌とは、木材を腐らせてしまう菌のこと。木材の主成分を栄養として育ち、繁殖するごとにその強度を低下させます。湿度が高いと発生しやすくなり、シロアリの発生条件とも共通しているので、同時に被害が進行する場合も。
木造建築においては、風通しを良くして木材を湿らさないことで予防が可能。嫌気性の木材腐朽菌は繁殖できないため、木材の耐久性を高めて住まいを長持ちさせることにつながります。
周囲の環境や立地、防犯など、通風の良い家をかなえるにはさまざまなハードルがあるのも事実。通風を含め、換気システムなど多角的に暑さや寒さの対策を行い、快適な夏を過ごせる住まいを実現してください。