COLUMN家づくりコラム
家づくりにおいて大切な「窓」。窓の持つさまざま性能とは②
外気温の影響については、外壁が注目されがちですが、大きな影響を受けるのは実は窓。快適な住まいづくりにかかせないのが、「窓」を考えることです。高性能のものを取り入れることが良質の住まいにつながります。夏は涼しく冬は暖かい、快適で健康的な家をつくる高性能な窓には、どんなものがあるでしょうか。
◆世界に遅れをとる日本の窓事情
日本の家庭では、世界的に見て時代遅れの窓が多いといわれてきました。欧米各国では、人々の生活や地球環境に配慮し、窓の断熱性能であるU値が定められています。これまで日本では次世代省エネ基準が示されていましたが、欧米に比べて圧倒的に基準が低く、かつ義務ではなく推奨に留められていました。しかし徐々に高性能な窓を始めとした省エネ住宅に対する意識に変化が起こりつつあります。2019年に公布された「建築物省エネ法改正」では、建築士から建築主へ、省エネ性能の説明義務制度が設けられました。今後もZEHなどを基準にした新築住宅が建設されるなど、より高性能な断熱性を持った窓が求められるようになっていきます。
◆サッシの主な種類。高性能な窓の代表格は「樹脂窓」
サッシは、アルミサッシ、アルミ熱遮断サッシ、アルミ樹脂複合サッシ、樹脂サッシなどが主流。
性能の高さから徐々に普及し始めた樹脂サッシ。樹脂は塩化ビニール樹脂とも呼ばれ、私たちが普段使用している日用品などにもよく使われている素材です。樹脂窓とは、さっしに樹脂が使用されている窓のこと。
断熱性が高く、一般的に使われているアルミサッシの熱伝導率は約200W/㎡・K。、樹脂は約0.17W/㎡・Kといわれており、アルミサッシのおよそ1000倍以上。冬場は冷気が室内に伝わりにくいので、温度差による結露の発生が抑えられます。
また、気密性も高まるため防音効果も期待できます。
樹脂は加工しやすい素材でもあるため、デザインが多彩なのも魅力。デメリットとしては、アルミサッシに比べて重みがあるという点と、紫外線に弱いため日差しの強い場所には不向きという点があります。
◆窓ガラスの主な種類
・単板ガラス(一枚ガラス)…最も一般的な窓ガラス。フロートガラスとも呼ばれています。厚みによって多少異なりますが、窓ガラスの種類の中で最も断熱性能が低いガラスです。コストが抑えられるというメリットはあります。
・複層ガラス(ペアガラス)
複数のガラスを使い、気体の層を作って閉じ込める窓ガラス。ガラス2枚を使った窓はペアガラスと呼ばれ普及しています。閉じ込める気体は乾燥した空気や、熱を伝えにくいクリプトンガスやアルゴンガスなど。気体の種類や層の厚さによって性能が異なりますが、断熱性や防音性が高く、丈夫で割れにくいのが特徴です。
・Low-E複層ガラス
通常の複層ガラスと異なり、2枚のガラスの内側に「Low-E金属膜」という低放射性の金属膜を貼り、日光を反射させたり室温を逃がしにくくする断熱効果を持たせたものです。日射熱を取り込み、室内の熱を逃がしにくくする断熱タイプ、日射熱や紫外線をカットする遮熱タイプの2種類があります。通常の複層ガラスと同様、ガラス間には空気やガスが封入されています。
・真空ガラス
複層ガラスの一種で、ガラスとガラスの間が真空になっているもの。真空は熱の移動が起こらないので、上記の複層ガラスと比べてより高い断熱性能が期待できます。魔法瓶の原理と同じで、結露の防止や防音効果も高く、省エネがかなう窓ガラスです。
高性能なサッシと窓ガラスの組み合わせることにによって、断熱性能が大幅に向上する窓。住む人が健康的に長く暮らせる家を作るため非常に重要なポイントです。窓の性能が普段の生活にどのような影響をもたらすかをしっかりと把握し、家族にはもちろん、地球環境にもやさしい住まいを作っていきましょう。