COLUMN家づくりコラム

やさしいあたたかさ「放射冷暖房システム」って?

イエタッタ編集部
2021.11.01

気温が下がる秋から冬にかけて、生活に必要不可欠なのが暖房器具。皆さんは家庭でどんなものを使っていますか。エアコンやファンヒーターがメジャーかと思いますが、今回は、熱の“放射”を利用した体にやさしい暖房システムについて紹介します。

 

まず、熱には、伝導、対流、放射という3種類の伝わり方があるのを知っていましたか。

 

 

伝導

物の内部を高温の部分から低温の部分へと熱が順番に伝わっていくのが伝導。発熱している部分に触れて体を温めるのが、伝導式の暖房器具。代表的なものはホットカーペットです。空気を巡らせることはないので、ホコリなどが舞い上がることはありませんが、部分的にしか温められないという欠点があります。

 

対流

気体や液体が温められると膨張し、軽くなり上昇、冷たい部分が下降して入れ替わるようにして熱が動くことを対流といいます。このように空気を温めて対流によって室内の温度を上げる暖房器具が、エアコンや石油・ガス・電気ファンヒー-ターなどです。部屋全体の空気が温められますが、逆に一部分だけを温める機能はありません。また、部屋が乾燥しやすくなるというデメリットもあります。

 

放射(輻射)

物体が発する熱が電磁波(遠赤外線)となって伝わるのが放射です。身近なところでいうと、太陽光も熱放射の一つ。空気などを介さずとも離れたところに熱が伝わる現象です。この仕組みを利用して、室内の温度を上げる暖房装置が「放射冷暖房システム」です。

 

放射冷暖房システム

家庭で使用されるのは、熱放射をするラジエーターと、冷温水を作る室外機による放射冷暖房システムです。室外機で温められたり冷やされたりした温水が、各部屋に設置されたラジエータに送られ、そこからの放射によって空間全体を安定した室温に保つのです。

冷風や温風を吹き付けることで表面温度を奪うのとは違い、人体や物体の熱自体が移動するので、一度適温になると急激に温度が下がることはなく、長時間継続するという特徴があります。家全体が一定の温度に保たれるため、部屋間の移動で急激な温度差を感じたときに起こるヒートショックの心配もありません。冷温風がホコリやカビなどを舞い上がらせることもないので快適。

また、最小限のエネルギーで自然で快適な温度を感じることができ、過剰に冷暖房を働かせる必要がないため人にも環境にもやさしいシステムだといわれています。

 

エアコンなどに比べて設置費などの初期費用は高額になりますが、年間を通して継続的に運転するシステムであるため、立ち上げ時などにかかる電力消費が少なく、省エネでランニングコストもおさえられます。

 

ラジエーターの中に水を循環させることで自然な対流を生み出し、冷房と暖房を一つの装置でまかなう「除湿型放射冷暖房」などの最新鋭の商品も開発されています。また、ラジエーターの素材も樹脂製や金属製などがあり、機能やデザインは多彩。

空間全体が自然で快適な温度に保たれることで、心身のストレスのない健康的な暮らしが送れそうですよね。新築や住まいの建て替え時など、このような放射冷暖房システムの導入を一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

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